いまだ先生の往診鞄 №69

本当は怖い脂肪肝

脂肪肝とは肝臓に脂肪がへばりついた状態で、肝機能障害の原因になります。脂肪肝の患者さんは毎年増加しており、人間ドックや健診を受けた方の30%は脂肪肝であると言われています。

脂肪肝は昔は治療されていない時代もありましたが、最近は脂肪肝の一部慢性肝炎となり、さらに肝硬変から肝臓がんへ至ることが分かってきました。今までは肝臓がんのほとんどがB型肝炎やC型肝炎からなることが多かったのですが、非常に良い薬が開発されたおかげでB型肝炎やC形肝炎の患者さんは減少しています。にも拘わらず肝臓がんの患者さんの数が横ばいということは、脂肪肝由来の肝臓がんが増えていることを示しているのです。

脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性があります。この二つはアルコールの摂取量により区別されます。アルコール性と判断された場合にはアルコールを減らすしかありません。また、非アルコール性の原因は過食と運動不足です。非アルコール性はさらに脂肪肝と脂肪肝炎に区別され、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝臓がんの発生率がとても高く注意が必要です。いずれにせよ、昔と違って脂肪肝は放置しない方が良いですよというお話でした。